スチールフレームの終焉と新たなる始まり
1986年、ツールドフランスを制覇したグレッグレモン。
使用したバイクのフレームは、TVT。
フロントフォークまでカーボンを使用した初のフレーム(ステアリングコラムは鉄)。
TVTは、ヘリコプターの操縦桿のカーボン製のスティックを製造していたメーカー。
当時、このカーボンフレームが如何に素晴らしい性能を持っていたかを知るのには、
LOOKがOEMさせていたことでも解ります。
LOOKの最初のカーボンフレームは、TVT製だったのです。
ここでデータです。
1987年のステファンロッシュ、96年のビャルリース、97年のヤンウルリッヒは確認が
取れていませんが、それ以外2005年のランスアームストロングに至るまで、
スチールフレームは、皆無なのです。
また、2005シーズンから導入されたUCIプロツールとコンチネンタルサーキット。
UCIプロツールで戦うUCIプロチームでスチールフレームを使ってるチームは
ありません。
しかし、スチールフレームが「時代遅れ」と言う言葉は、適当ではないと私は思います。
空力と剛性と重量の三要素を高次元で実現する事が、スチールフレームでは、
10年以上前に限界に達してしまった事は事実です。
では、スチールフレームは、もう必要とされていないのか?
私は、スチールフレームには、大切な役割があると考えています。
それは、選手を育てるバイクのフレームという役割。
アルミハイブリッドや複合素材でできたフレームに比べ、安価にミリ単位で選手の
身体にあわせた高精度のフレームを造る事が出来る点。
そのフレームをメカニックが高精度に組み上げる。
そのバイクは、走る、曲がる、止まるの基本性能を十二分に持った紛うこと無き
純然たる運動性を持ったロードレーサー。
それは、過剰な剛性も抑えた脚に優しいバイク。
成長期の(身体的)選手であるなら、成長に合わせてフレームサイズも変更しなければ
なりません。
またスチールフレームは、カーボンなどの複合素材でできたバイクと違い、落車等で
フレームセンターが狂った場合も程度にもよりますが、修正が可能です。
速いバイクと楽しいバイクは、違うと私は思います。
バイクは、楽しくあるために、速くある必要はないと考えます。
これからは、選手を育てるバイクとして、乗っていて楽しいバイクとしての
スチールフレームが新たな役割を担っていると私は考えます。
