アウターワイヤーとインナーワイヤー
NRSが行なう作業で最も評価されているのが、ディレイラーやブレーキを動作させるために、
必要なワイヤーラインの作業があります。
「シフトのシンクロが昨日のステージでは良かったのに、今日はダメでした」なんて
雇われで行ったプロチームの選手から言われた事があります。
また顧客から「NRSと同じパーツをつけているバイクと比べたら、あらゆるワイヤーラインの操作が
スムーズで、ブレーキに至っては、フリクションが感じられない」などと過分な評価を
いただく事もあります。それの原因が最近になってようやく言葉にすることが出来るように
なってきました。プチ種明かしですね。
まず、ブレーキケーブルから始めます。
生業の作業の種明かしは、いわゆる企業秘密なんて言ったりして、黙っている事なのかも
知れませんが、このコンテンツを見て、真似をしたい人は、どうぞ遠慮なく真似をしてください。
このコンテンツを見たぐらいで、真似する気にもなれないように思う人が多いと想像してますので
アップする事にしました。
ほんと、基本的な作業に過ぎないんですけどね〜。出来てないバイクがホント多いです。

上の画像は、デュラエースのSLRブレーキケーブルのアウターです。
パークのゴツイワイヤーカッターでズバッと切った状態のフェイスです。
通常、7部組や9部組みで販売されている、バイクのほとんどは、この状態です。
ブレーキケーブルのアウターは、インナワイヤの滑りを良くするBの樹脂製インナライナーを
スチールのスプラインワイヤで巻き込んで、その上を樹脂の被覆で覆って出来ています。
この状態で、組みつけても取り合えずブレーキは動作します。
上の画像の@とAの段差は、2ミリあります。
ブレーキを動作させる時、ワイヤーはどのような状態になっているかというと、
ブレーキレバーから入力(インナーワイヤーが引っぱられる、でもまだワイヤは動かない)
↓
ブレーキのアウター受けにアウターフェイスが突っ張る
↓
フレームのワイヤー受けにアウターフェイスが突っ張る
↓
ブレーキアーチのワイヤ受けにアウターフェイスが突っ張る
↓
ここでやっと、インナーワイヤが動き出す
↓
レバーからの入力がブレーキにに伝わる
↓
ブレーキがが動作する
ワイヤーフェイスが出ていないと、アウターワイヤーの突っ張りに必要な入力やストロークが増えます。

この画像は、ズバッと切ったアウターのフェイス出し処理をしたものです。
@とAの段差は、0.1〜0.2ミリです。
この状態にすると、ワイヤーフェイスがフレームのアウター受けやパーツで、インナーワイヤーの
動きにより突っ張った時に、アウターワイヤーのフェイス当たり面が処理をしていないワイヤーと比べて
少ない入力とストロークが可能になります。ブレーキのレスポンス、タッチともに本来の性能で動きます。
フェイスが出ていないとアウターワイヤーが突っ張る時に、しなってしまって入力の伝達ロスが
発生するのです。
また、こういった部分のロスは相乗することが、解ってきました。
ロスは、感覚として二乗していくという風に感じています。
新品アウターのフェイスは、機械加工で専断されているため、完璧にフラットです。
でもアウターは、最低一ヶ所、長さ調整のためにカットしますよね。
2ミリの精度であれば2の二乗のロスが発生します。
最近は、リアブレーキのワイヤーがトップチューブ下を裸で通すようになっているので、そうすると
2ヶ所カットすることになりますね。
すると2ミリ+2ミリの二乗のロスが発生すると思ってください。
0.1ミリの面出し処理のロスを二乗で計算すると・・・ハイもう解りですね。
0.1ミリ+0.1ミリの二乗は、0.4のロス。2ミリ+2ミリの二乗は、16のロスになります。
ロードレーサーの構成パーツの一つ一つの組み付け精度が全て相乗効果となっていることも
最近解ってきました。
ちなみに、バイクギャラリーのオールカンパのバイクのコンテンツに書いていますが、
カンパは、全てのグレードで同じワイヤーラインなのに、シマノは違います。
SLRケーブルも105とデュラでは、違うため105のワイヤーラインをそのまま使うと
初期性能の確保に手間がかかり(材質が違うため面出し処理の手間が)、初期性能を
維持している期間も短くなります。
