99年から,レースメカとして,各地を転戦しました。
ツアーオブジャパン、ツールド北海道、3デイズ熊野、ツールド東北。

最初に買ったメカニック道具は,バケツと長靴でした。

始まりは,99女子ワールドカップツアーオセアニアラウンドAUS、NZラウンドにノンナショナルの
JPNチーム(通称なんちゃってJPN)にメカニックとして参加したことです。このときの話は、
またの機会に詳しく。

ところが通訳はいないは,マッサージもやって一日三時間睡眠が続きました。単に手が遅いので時間の浪費でしか仕事がこなせない自己の能力の低さもありますが。

ステージレースがメインなのですが,洗車に始まり洗車に終わるといったところです。

AUSとニュージーを転戦して各国ナショナルチームやトレードチームのスタッフからは,それなりに評価してもらえたようです。あとで、E-メールが来ましたから。アジアに遠征に行ったら,おまえ働けるか?…と(それっきりですが)
自分が組んだバイクでは,ないし、シーズン当初に供給したものとは,別のアッセンになっていたりして,(スプロケやチェーン)コンポーネント化されている現在のレーシングパーツは,別アッセンにするととたんに機嫌が悪くなります。

それをだましだまし調整して,ステージレースが終わる頃には,バイクは,ピカピカで絶好調になってます。

急遽ワールドカップに行くことになったときは,事前に選手各位にセットアップを完璧にと言っていたにもかかわらず、ワンレース終わった時点で選手から,バイクの調子が悪いと。見るとマニュアル通りのセッティングで、そのフレームでは、若干指定のセッティングではないようしなければいけないのですが、あまりにいいかげんな組み付けに,現地で,ヘッドパーツも含めて,ばらして組み直した経験があります。けっこう名の通ったショップのステッカーが張ってあったので安心していたのですが。

「サポートを受けているショップなんだから、帰国したら、橋本の名前を出していいから、今回のセッティング不良を伝えるように」と言いました。

返答は、「ワールドカップでは、そうなのかな」と的外れな答えをされたと、選手から連絡がありました。

私が乗ってもがくと確かにインナー落ち。ラウンチでは、わからないので、いつも最後は、必ず自分で選手のバイクで、もがき調子を見ます。男子選手の場合、自分では、パワーが足りないのでブレーキをかけながらもがき、チェンジを繰り返して整備完了です。
私以外で、整備したバイクをメカニックが乗ってもがいて状態を見る光景を見た記憶がありません。

プロチームの選手には、メカニックが調整のためでも、ライディングすることを嫌がる選手が結構います。
しかし、いくらラウンチの上でご機嫌にしていても、実際もがくと「ラウンチ(作業台)では、機嫌よく動いたのに!」っと言うケースが多々あります。

メカニシャンの仕事に"これでよい"と言うのは、ないと自分は、考えます。
時間的、体力的(いざと言うときやうっかりを減らすため)制約があるため"この程度"で済ますのです。

ワールドカップでは、カテゴリー1の山岳ステージがありました。
1500メートル以上登るのです。
そこで私は、ある選手の空気圧を6.2気圧でセットしました。
選手自身も体重が40kg前半だったのと、高度が上昇すれば気圧が下がるので、
タイヤの内圧が上がると考えたのです。

また、下りではブレーキングにより発生した熱もタイヤ内圧が上がる要因になります。
ゴールした後、空気圧を計ると8.2気圧になっていました。
もし、8気圧でスタートさせていたら、タイヤがバーストしたかもしれませんね。

そのタイヤメーカーの人には、「強運のメカニック」で済まされましたが。

現在、車のエンジニアの元選手の友人に話すと、「運で済ますのは、エンジニア失格。
ノントラブルの裏にある要素をなぜ考えないのかな?」と言われました。


99年のAUSとニュージーでステージレースとワンデイのワールドカップのセットをこなしました。
AUSのステージレースは,スキー場とスキー場を繋ぐ山岳ステージレース。
女子でも下りで100キロ超えていました。