ドーピング

ローマオリンピックで、アンフェタミンという興奮剤を使用した自転車ロード選手が死亡。
これをきっかけに1967年にIOC医事委員会が発足しドーピングコントロールを
行うこととなりました。その前のオリンピック、つまり64年の東京オリンピックで、
世界スポーツ科学学会が開かれドーピングの定義について次のように定められました。

ドーピングは、試合における競技能力を不公正な目的で高めようとして、生体には、存在しない物質を用いたりまた、生理的に存在しない物質であっても異常な量を用いたり、それを異常な方法で、使用することである。

基本的な考えは、変わりませんが、現在では、これをもっと具体的かつ包括的に表現し、次のように記されています。

ドーピングは、スポーツと医学、双方の論理に反する。ドーピングとは・・・

@禁止物質に属する物質の投与。

A禁止方法の行使である。

具体的には、以下のようになります。    

 T禁止物質の種類              A興奮剤

                           B麻薬製鎮痛剤

                           Cタンパク同化剤

                           D利尿剤

                           Eペプチドホルモン、類似物質とその同族体

U禁止方法                    A血液ドーピング

                           B薬理学的、化学的、物理的操作

V一定の規制の対照となる薬物の種類   Aアルコール

                           Bカンナビノイド類

                           C局所麻酔剤

                           Dコルチコステロイド副腎皮質ステロイド

                           Eβ遮断剤

薬ではないが、ドーピング行為として禁止されている方法、操作

血液ドーピングというのが有ります。競技者に血液、赤血球、人工的酸素運搬物質および関連血液製剤を投与することです。

実際の方法としては、選手から血液を取り、保存。選手は、ある期間の後、保存しておいた血液を選手の体内に戻すというものです。

赤血球を増やし、持久力を高める方法ですが、誤って他人の血液を入れるのも有りうることで
(これは、タテマエ)ドーピングとして禁止されています。

「薬理的、化学的、物理的操作」というのは、難しい表現ですが、簡単にいえば、尿検査の「ごまかし」です。

現在のドーピングリストに挙げられている薬物の内、半分が、マスキングといわれる尿検査で、
禁止薬物の発覚を隠す役目をするものになってきています。

たとえば、他人の尿と取り替えたり、他人の尿をカテーテルで、自分の膀胱に入れたり利尿剤を用いて、
禁止薬物の尿中濃度を薄めたり、痛風の治療薬を用いて、禁止薬物が尿に排泄されるのを抑えたりと
いったような方法、操作を指しています。


皆さん覚えておられるでしょうか。
シドニーオリンピック女子体操で、演技直後のドーピングで引っかかり、メダル剥奪になった選手のことを。
日本からもメダル剥奪で沈んでしまっている彼女を励まそうと掲示板で、盛んに盛り上がってました。

これ、シドニーオリンピック実行委員会は、「してやったり!」とガッツポーズをしたとか。

通常の国際大会ですといったんロッカールームに戻ってからドーピングコントロールに向かいます。
そこで他人の尿を自分の膀胱に入れて検査をごまかすのを読んで演目が終わるとドーピングコントロールに
直行するよう図っていたのです。

いくらかわいくても、演技がすばらしくても、その裏でやることやってたわけですから同情の余地は、
ありません。会場のレイアウトがいつもの国際大会と違うのをコーチは、気が付かなかったのですね。

演目が終わるや否や、役員が、彼女を取り囲んで、まさに連行されている国際映像に、
その選手が動揺しまくってコーチに近づいて助けを求めるまもなくドーピングコントロールへ
連衡されてました。

また、カウンターマスキングといって、マスキング剤を隠すマスキング剤が存在します。
もうこうなったら、いたちごっこです。

エリスロポエチン、通称エポ(EPO赤血球増加ホルモン)

1998年のツールドフランスで、逮捕検挙者が続出して一躍有名になった薬です。

当初、EPOは尿検査でのドーピングコントロールでは、確認する事が出来ませんでした。
そのため、血液を採取してヘマトクリット値(HEM値、赤血球の数)で判断します。
血液中赤血球が、50%を超えているとEPOの使用をしていなくても、失格になります。

このHEM値の数値は、80年代のトップレベルの選手のHEM値が50%を超えていなかったという曖昧なものです。

では、HEM値が50%をこえていると身体にどんな影響があるか。

血液の粘性が高くなり、心臓に負担がかかります。言い換えれば、血中の水分が発汗等により少なくなると自動的にHEM値も上がることになります。
ですから、EPOチェックは、レース前に行われます。

写真は、99年の女子ワールドカップオセアニアラウンドのときのものです。

華奢な日本選手が、まともに走っているのがドーピングによるものと思われたのでしょうか。

ちなみに各国は、HEM値を45%(±5%弱誤差が出るそうです)でEPOを使ってコントロールしているようです。廻りがやっている以上仕方ないんでしょうが。

もう莫大な費用のかかるドーピングチェックをやるのは無意味だと言うドクターもいます。

画像は、オーストラリアのステージレースのさなか、朝食に行こうとしたら宿に
押しかけられ、EPOチェックを受けました。前日は、 レース終了後に尿検査もされています。

かつて、カンニバル(人食い)と恐れられたベルギーの偉大な英雄、エディメルクス。
彼がドーピングに関して、こういっています。
「ドーピングは、ロバをサラブレッドには、変えない」と。